平昌か平壌か?旅行代理店のミスが招いたダニエル・サピットの平壌体験

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2014年、ケニアの牧畜業者の北朝鮮体験

2014年、ケニアの牧畜業者でありマサイ族の代表であるダニエル・オロマエ・オレ・サピット(Daniel Olomae Ole Sapit)は、大韓民国の平昌で開催される国連生物多様性条約締約国会議に参加するための旅行を計画しました。しかし、旅行代理店のスタッフのミスにより、彼は北朝鮮の首都平壌に向かうことになり、これが彼の人生で忘れられない経験となりました。

ダニエル・オロマエ・オレ・サピット
ダニエル・オロマエ・オレ・サピット


平昌と平壌:混同の始まり

ダニエル・サピットはケニアの旅行代理店を通じて航空券を予約しました。しかし、旅行代理店のスタッフが目的地である「Pyeongchang」を「Pyongyang」と誤入力したことで、問題が発生しました。

PyeongchangとPyongyang
PyeongchangとPyongyang

この2つの都市の英語表記が似ているため、当時も珍しいミスではありませんでした。特に2018年の平昌冬季オリンピックを控えて、平昌と平壌を混同する事例はたびたび話題となっていました。


予想外の到着地:平壌

飛行機に搭乗したダニエル・サピットは、窓の外の風景が自分が期待していた都市化された韓国の景色とは異なることに気付きました。

飛行機から見下ろす平壌
飛行機から見下ろす平壌

彼は「まるで発展していない国のように見え、そこで初めて何かがおかしいと感じた」と回想しました。空港に到着した彼は、「平壌」と書かれた看板と金日成の肖像画を見て、自分が北朝鮮に到着したことを悟りました。


北朝鮮での拘束と追放

ビザを持っていなかった彼は北朝鮮当局に数時間拘束されました。彼は取り調べを受け、「北朝鮮の法律を違反した」とする誓約書に署名し、500ドルの罰金を科されました。北朝鮮の法律では、外国人による不法入国は国家安全保障の脅威と見なされ、拘禁や強制労働収容所に送られる厳しい処罰につながる可能性があります。ダニエル・サピットの場合、政治的意図がなく単なる旅行代理店のミスによる入国だったことが認められたため、比較的軽い処罰で済みました。

平壌空港の内部

それでも彼は、北朝鮮での厳しい尋問や数時間の拘束中、非常に恐怖を感じたと述べています。北朝鮮の厳格な法体系や外国人に対する疑念が広がる状況を考えると、彼は早期に追放処分を受けて中国・北京へ移動できたことは幸運だったと言えます。もし彼が故意に入国したと誤解されていれば、スパイ容疑で長期間拘束されたり、強制労働刑に処されていた可能性もありました。


韓国への到着とイベントへの参加

北京から追放された後、ダニエル・サピットは改めて韓国に入国し、平昌で開催されるイベントに無事参加することができました。彼はその後、「旅行計画時に目的地を確認することがいかに重要かを身をもって知った」と語りました。

韓国に到着したダニエル・サピット
韓国に到着したダニエル・サピット


教訓と国際社会の反応

この事件は、旅行時に目的地確認の重要性を思い出させる例として語り継がれています。特に平昌冬季オリンピックを控えた時期には、国際社会も「Pyeongchang」と「Pyongyang」の混同を防ぐためにさまざまなキャンペーンを展開しました。ニューヨーク・タイムズをはじめとする主要メディアは、こうした混同がオリンピック観光客に大きな混乱をもたらす可能性があると警告しました。

ダニエル・オロマエ・オレ・サピット

ダニエル・オロマエ・オレ・サピット



結論

ダニエル・サピットの経験は、単なるミスがどれほど大きな混乱を招くかを示しています。彼は「平壌での一日は絶対に忘れられない」と語り、軽い罰金と追放処分で済んだことに感謝していると述べました。この事件は旅行者に警鐘を鳴らすとともに、不確実な状況下でどれほど大きなリスクが伴うかを認識させるものです。

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